今年に入ってから夫が
「 お互いに本を読んでプレゼンしよう。そうしたら一気に2冊読んだことになるし!」
みたいな提案をしてきた。
お前はファスト映画か、と思ったけど、最近だらけきってすっかりシワを失いつつある私の脳みそのためにも良さそうと思ってやり始めた。
これが案外楽しかったし、勉強になる。
最初は『心をつかむ話し方』って言う本を読んだ。
どんな場面でも使える!ってなってるけど、8割以上ビジネスシーンで使うようなものだった。
何を話すか、より誰と話すかを重視して、その人ごとに意見をコロコロ変えて懐に入ろう!みたいなこととか。
相手が仕事上での取引相手だったら無理に自分の主張を押し通す意味はないから、円滑に進めるためにそれもアリかもしれないけど、プライベートでそんなやついたらヤダ。
プレゼンの効率的な進め方、とか、初対面のビジネス相手から好印象を持ってもらえる自己紹介の仕方、みたいのが多かったかな。
私は事務仕事しかしてないし、なかなか活かす場面はなさそうたけど、営業とかプレゼンの多い人には役立つ本なのかもしれない。
次に読んだのは「ファクトフルネス」。
もうめっちゃくちゃおもしろかったので、どうかかいつまんで説明させてほしい。
この本を書いたハンスさんはもう他界していらっしゃるんだけど、スウェーデン出身で、僻地のお医者さんから公衆衛生の専門家になった人。
本の最初にクイズがあって
【1】世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?
①20% ②50% ③80%
【2】現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?
①20% ②40% ③60%
【3】15歳未満の子供は、現在世界に約20億人います。国連の予測によると、2100年に子供の数は約何人になるでしょう?
①40億人 ②30億人 ③20億人
【4】いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう?
①20% ②50% ③80%
【5】 世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?
①50歳 ②60歳 ③70歳
みたいな問題。
抜粋したけど、こんなかんじのが全部で13問あった。
これの正解は
【1】〜【5】まで全部③。
めちゃ頭のいい学者や、大企業のCEOでもものすごく正解率が低い、ということだった。
実際、私もほぼ間違えた。
世界はみんなが想像してるよりここ100年くらいの間で急速に良くなっているのに、そのことにみんな気づかない。では、それはなぜ?というのが本筋。
それはみんな「ドラマチックすぎる世界の見方」をするから、だそうな。
そうなってしまう原因は何かというのを10章に分けて説明してくれてる。
1.分断本能
分断はないのに分断があると思い込みがち。
金持ち↔貧乏、先進国↔発展途上国、のように二分化して考えてしまうけど、本当はその中間が大半を占めている。
実際、極度貧困率はここ20年で急速に良くなっている。
二極化しないために、著者は人々の生活をレベル分けをして説明している。
[レベル1] 〜2$/日 移動は徒歩、飲むのは泥水、薪で火起こし 世界に約10億人
[レベル2] 〜8$/日 自転車、最低限のライフライン、家族が突然病気になったりしたらレベル1に転じることも 世界に約30億人
[レベル3 ] 〜32$/日 冷蔵庫、バイク、保険のようなものにも入れる、ごく稀に旅行に行ける、水道が通ってる 世界に約20億人
[レベル4] 32$〜/日 外食、車、飛行機での旅行、お湯が出る、一般的な日本人 世界に約10億人
最貧困層と最富裕層との差を『ドルストリート』というサイトで見られる。
このサイト自体がかなりおもしろいのでオススメです。
https://www.gapminder.org/dollar-street?lng=ja
2.ネガティブ本能
これを引き起こす原因は
①あやふやな過去の記憶
②偏った報道
③状況が悪いときに「前よりいい」と言いづらい空気
マスコミはネガティブなニュースを報道するので、そういうものが耳に入りやすく、良いことは知る機会がない。
なぜならゆっくりとした進歩はニュースになりにくいから。
でも悪いニュースが増えたのは監視の目が増えたからであって、悪いことが増えたとは限らない。
人は過去を美化し、国は歴史を美化しがち。
「悪い」と「 良くなっている」は実は両立する。
例えば「景気は悪いけど、以前に比べたら良くなっている」みたいな。
3.直線本能
世界の人口はひたすら増え続けているという誤解。
人口増加のグラフを見ると、右肩上がりで増加することを想像しがちだが、そうではない。
子供の数は今現在もこれからも横ばいになる。
増えるのは大人である、これを世代倍増という。
(正直世代倍増の仕組みは読んでもあんま理解できなかった…)
貧困層は働き手確保のため子供を産むが、死亡率が高いため保険としてたくさん産むことになる。
そのため、乳幼児死亡率が下がれば出産数も減る、貧困層を救うことが人口増加を止める手立て。
4.恐怖本能
人が本能的に恐怖を感じる報道が「関心フィルター(情報の取捨選択センサー)」を抜けて入ってきやすい。
特に本能的に恐怖を感じるものは
①身体的な危害(事件、事故)
②拘束(政治が変わって自由がなくなったりするのも含まれる)
③毒
毒というのは、昔、殺虫剤(DDT)が人体や自然界に及ぼす影響を無視した過去から、化学物質に過剰反応する人がいる。(いわゆる反ワクチンや自然派。筆者はめちゃくちゃこの人たちに怒ってた。)
チェルノブイリや福島原発の時に放射能に怯えて避難した人が、ストレスなどで大勢亡くなる一方で、放射能で亡くなった人はむしろいない。
人は目に見えないものを怖がりすぎてしまう。
5.過大視本能
一つの数字が重要であると勘違いしがちだが、比較したり、ひとりあたりの割合で真実をみるべき。
2016年には世界中で420 万人の赤ちゃんが亡くなっている。と聞くと「なんて数だ!」と思うが、1950年は1440万人。そう聞くと420万が小さな数字に思えてくる。
「80・20ルール」というのがあって、2割の項目が全体の8割を占める、というもの。つまり小さな項目は無視していい。大事なのは2割の項目をどうするのかということ。
家計簿なんかでも、同じこと。
6.パターン化本能
国や年齢、性別などでパターン化して考えがちだが、パターン化は間違いを生みやすい。その分類が本当に正しいのか疑うようにする。
そのためには、
①同じ集団の中にある違いを探す
②違う集団との共通項を探す
③違う集団との違いも探す
④過半数、とは何%?51%と99%じゃ全然ちがう
⑤イメージに気をつける
⑥自分は普通で、それ以外をアホだと決めつけない
7.宿命本能
変化はゆっくり起きるので、変わっていることに気付きにくい
特に文化は必ず時間とともに変化するので、国や宗教などでステレオタイプに囚われてはいけない。
8.単純化本能
自分の得意分野に置き換えて、1視点から物事を判断してしまいがちだが、それでは理解できていない。
自分が理解しやすいデータばかりを集めてはいけない。色んな人の意見を聞いて判断すること。
逆に数字は理解しやすいが、世の中の流れは数字だけでは測れない。
世界はもっと複雑だということを理解して、コレが一番いい!と過信するのはやめよう。
9.犯人探し本能
なにか悪いことがあると、犯人を探してしまいがちだが、犯人探しをすると他の原因に目が向けられなくなる。
犯人ではなく、その状況が生まれた原因に目を向けるべき。
良いことがあったときは、本当に優れたリーダーのおかげとは思えない。多分その人がいなくてもいずれ同じことになるはず。
社会を支えるのは、リーダーではなく普通の人たち。
10.焦り本能
「今すぐに決断しないと」と思ったら一旦冷静になろう。
焦りは冷静な判断ができなくなる。深呼吸して、データを確認して、未来を予想するときには最高と最低のシナリオを想定し、大胆な対策を取った場合の副作用を考えること。
こんなかんじだったんだけど、これって世界問題に関することだけじゃなくて、普段から陥りやすい思考だなと思った。
この先、なにかイヤなことがあったりネガティブな気分になったときに「あ、これファクトフルネスで見たやつだ!」って進研ゼミみたいな閃きが起きれば冷静になれそう。
私「ネガティブ本能」「単純化本能」「パターン化本能」「犯人探し本能」あたりめちゃくちゃやりがち。
気をつけよ。
こんなかんじで、ちょっと頭が柔らかくなった気がする本、それがファクトフルネス。
ハンスさんの体験談とか例がたくさん載ってて読みやすいのでオススメです。
興味が湧いたらぜひどうぞ。
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